冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「サノワはどんな国だ」

「はい。たくさんの大地の恵みのおかけで、とても潤っております。ですがそのせいで隣国に土地を狙われてしまっているのですが……」

「それは耳に届いておる。お前はそのために嫁いだのであろう?」


自国だけではどうにもならなくなり、ユノヘスの力を借りるために、私はここにいる。
忠誠の証――人質として。

正直にコクンとうなずくと、王太子さまは少し顔をゆがめた。


「ユノヘスも自然の豊かさには自信がある。農作物はよく育ち、民も潤っている」

「はい。木の上から街を見下ろしましたら、小麦畑が見えました」

「木の上?」

「あっ……」


しまったと口を押さえたものの、遅かった。


「まさか、木に登ったのではあるまいな」

「あはは……」


曖昧に笑ってごまかそうとしたものの、彼は盛大な溜め息をついた。
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