冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「本当にお前は……。もう二度とそのようなことをしてはならぬ」

「すみません」

「まぁ、よい。俺もよく登ったものだ」


王太子さまも?
彼は遠くに視線を送り、なにかを懐かしむような顔をした。


「王太子さま。あのっ、謝らなければならないことがございます。私は、サノワの国王の娘ではありますが、その……」


王宮で王族として育てられた姫ではないともう耳に入っているのだから、今更取り繕っても仕方がない。
素直に謝罪して許しを請おうと思ったものの、彼はその言葉を遮る。


「足の傷、見たそうだな」

「……はい」


今日、医者の診察のとき、お願いして見せてもらった。
すると、ふくらはぎにくっきりとヤケドの跡が残っていて、このまま一生残るかもしれないと言われてしまった。


「俺が責任を取る」

「責任、と言いますと?」


医者に治せないものを治せるわけがないのに……。
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