冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「お前の面倒は俺が一生見る」


どういう、意味?
私が首を傾げると、彼は再び口を開いた。


「ここにいればよい。我が妃となるかどうかは、自分で決めよ」


ここに? それに、自分で決めるって?


「ここに……と言われましても、私は王太子さまを欺いたのです。追放されても仕方がありません」

「たしかにそうだな。だが、誰をよこせと指定はしておらぬぞ」


それはそうかもしれないけれど、忠誠の証ならば、少なくともサノワにとって重要な地位にいる姫が嫁ぐのが普通ではないだろうか。

王宮などとはまったく無縁で過ごした私がその役割を背負ったのは、やはり間違っている。


「それに、お前は俺に恋をしに来たと言ったのではないのか?」

「……言い、ました」

「あれは嘘か?」


私は首を横に振った。

それは嘘ではない。
来るからには王太子さまに一生ついていくと決めていた。
< 102 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop