冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
傷が露わになると、シャルヴェさまはじっと見つめていた。

こんな姿を見られたくなかった。
彼に醜い姿を。


「順調によくなっておりますね。ですが、まだ油断は禁物です。ばい菌が入ると、すぐに悪化しますから」

「はい」


そして薬草を塗ってもらい、、疲労に効くという苦い薬を飲まされて、診察は終了した。


「リリアーヌ、顔が険しいぞ」

「あのお薬、苦手ですわ」


なんともいえない強い苦味と、ほんのり酸味の混ざった薬は、飲みほしたあとも口の中に残っている。


「少し我慢だ。疲れがたまると傷の治りも悪くなる。だが、お前は疲れることが好きだからな」


たしかに、じっとベッドで寝てはいられない。
言い返す言葉もない。


「シャルヴェさま。あまり傷の心配はなさらないでください」
< 145 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop