冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
さっきヤケドの跡を食い入るように見つめていた彼は、どこか悲しげだった。


「いや。この白い肌に傷をつけてしまったことは、俺の一生の後悔だ。償えるものではないが、償わせてくれ」


償いのためだけに、そばにいてくれるんだ……。

シャルヴェさまにそう言われて、悲しくなった。


桜桃の木の下で肩を抱かれたとき、彼との心の距離も縮まった気がしていたのに、また遠くなってしまった。

でも、まだ諦めるのは早い。
今日のように知らない彼の一面を知って、もっともっと彼の心とつながりたい。


もしも彼が私に興味がなくても、私は彼を知りたい。


「ありがとう、ございます」


私が笑顔を作ってみせると、「今日はゆっくり休め」と言い残して彼は出ていってしまった。
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