冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
ガエルはあんぐりと口を開き、他の人たちはざわつき始めた。


「ご自分でお作りになられていたんですの?」

「ですから、『変わっていらっしゃる』と言いましたでしょう?」


ガエルが感嘆の声を上げると、コールがどこか誇らしげにそう言うから、皆からクスクスと笑みが漏れる。


「あの……私に遠慮はいりません。皆さんと一緒に働きたいくらいです」


あの部屋で一日中退屈な生活を強いられるより、こうしていたほうが楽しい。


「そんなことをしたら、王太子さまに叱られますわ」


ガエルが慌ててそう言うと、「王太子さまは、リリアーヌさまがこういうことをなさる方だとご存知ですよ」とコールはまた笑った。


余程変わっているのね、私……。

そんな始まりではあったものの、パンを作っていると次第に打ち解けてきた。
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