冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「リリアーヌさま」


ヤニックが動かない私を呼んだけれど、私は首を振って出ていくことを拒否した。


「リリアーヌはよい」


すると、シャルヴェさまがいることを許してくれたので、彼に感謝した。


やじ馬が出ていくと、シャルヴェさまは剣を鞘におさめ、男の子に視線を向ける。
すぐにでも剣を振り下ろしそうな勢いだったので、拍子抜けだ。


「驚かせたな」


もしかしてさっきの剣幕は他の者を追い出すための芝居だったのだろうか。


「盗みをしたのには、理由があるな。お前の目はまっすぐで透き通っている。ただ金が欲しくてやったわけではないだろう?」


シャルヴェさまが男の子の前で膝をつき、視線を合わせながらそう言ったので、ホッと胸を撫で下ろす。

彼は間違ったことはしない。
なにも聞かずに殺したりはしない。
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