冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「リリアーヌ。少し休もう。さすがに俺も疲れた」


シャルヴェさまはそう言うと、私を促し部屋を出る。
そして、私の部屋まで、ゆっくりと歩いてくれた。


「リリアーヌ。パンを作っていたのか?」

「はい。コールに頼んで調理場の作業に混ぜてもらいました。シャルヴェさまにも焼きたてを食べてもらいたかったんですけど、あの子にたっぷり持たせてしまって……」


もうわずかしか残っていない。


「それは構わん。また作ってくれればよいだろう?」

「そうですね。もっとおいしいパンを焼きますわ。期待していてください」


私がそう言いながら彼を見上げると、彼は口角を上げうなずいてくれた。
部屋に入った途端、彼は私を抱き上げ、ベッドに下ろす。


「足の調子はどうなのだ?」

「昨日ご覧になりましたでしょう? すぐには変わりませんよ」

「そうだが、心配なのだ」
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