冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
でもそれは、傷痕が残るかもしれないという不安ではなかった。
傷がよくなりこうして歩けるようになった今、シャルヴェさまが『サノワに帰れ』と言えば帰らなくてはならない。
彼は責任を取るとは言ったけれど、もしこの先愛する人を見つけ妃とするなら、私は邪魔だ。
バスチューは私のことを、『大変お気に召されている』なんて言い方をした。
でも、おそらくそれもここに私を置いておくための演技だろう。
それに、妃となる者にこんな傷はないほうがいい。
けれど、彼の優しさを知れば知るほど、ここを離れたくないという想いが強くなる。
私の心は、もうシャルヴェさまに奪われていた。
「不安とはなんだ?」
「いえ、なんでもございません」
いつ出ていけと言われるだろうかという不安でいっぱいなことは、彼には言えない。
傷がよくなりこうして歩けるようになった今、シャルヴェさまが『サノワに帰れ』と言えば帰らなくてはならない。
彼は責任を取るとは言ったけれど、もしこの先愛する人を見つけ妃とするなら、私は邪魔だ。
バスチューは私のことを、『大変お気に召されている』なんて言い方をした。
でも、おそらくそれもここに私を置いておくための演技だろう。
それに、妃となる者にこんな傷はないほうがいい。
けれど、彼の優しさを知れば知るほど、ここを離れたくないという想いが強くなる。
私の心は、もうシャルヴェさまに奪われていた。
「不安とはなんだ?」
「いえ、なんでもございません」
いつ出ていけと言われるだろうかという不安でいっぱいなことは、彼には言えない。