冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
ただ……シャルヴェさまは別に愛する女性を見つけ、妃として迎えるかもしれない。
彼の妃となり近くで仕えていれば、その心の動きをはっきりと感じてしまうだろう。

どういう形に転んでも、愛というもので結ばれているわけではない今、不安は拭いさることができない。


あれほど私の足のことを気にしている彼を見ていると、やはり愛という感情とは別の感情で私を置いてくれようとしていると思えてしまうのが現実だ。

でも、これほどまでに心配してくれるシャルヴェさまのそばから離れることのほうが辛かった。


「ですが、リリアーヌさまおひとりで、置いてはいけません」

「私はひとりじゃないわ。王太子さまがいらっしゃるもの」


私がそう言うと、ヤニックは顔をしかめる。

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