冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
あの男の子を見て、母はどうしているのかと心が痛んだ。

母は私を育てるために、国王である父の援助を受けてきた。
でも、私がいなくなったら、それを拒否しているのではないかと心配になったのだ。


「リリアーヌさま……。それがリリアーヌさまのご希望なのですね」

「そうよ。だからあなたはサノワに帰って」


もう一度そう言うと、ヤニックは渋々ながらもうなずいた。


「承知、いたしました。リリアーヌさまの母君については、この私が必ず幸せを見届けます」

「ありがとう。ヤニック」


もうすっかり打ち解けた彼と離れるのは寂しい。
でも、二度と会えないわけじゃない。

いつかシャルヴェさまが平和な世を作ってくれれば、両国間を行き来することも簡単になるだろう。
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