冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「王太子さま。どうかお戻りください。あなたはこの国に必要な人。あの男の子や民をお助け下さい」

「うるさい、黙れ!」


私が叫ぶと、男は怒りを露わにして、ナイフの先を私の心臓に向ける。

すると、シャルヴェさまが剣に手をかけ、身構えた。


「その女を殺した瞬間、お前の命もない」


シャルヴェさまがそう言い放つものの、男も動じない。
おそらく、最初から命がけなんだ……。


「そうか。それならやってみるか? この女はお前の妃になる者だと聞いたが?」


男はニヤリと笑い、シャルヴェさまを挑発する。
それも、知っていたのね……。


「リリアーヌを離せ」

「それなら剣を捨てよ」


私はシャルヴェさまに向かって小さく首を振った。 

捨ててはダメ。
そう心の中で念じたものの、シャルヴェさまは男に従い、剣を置いてしまう。
< 181 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop