冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
こうするしか仕方がなかったことは理解しているつもりだ。

シャルヴェさまが私を守ってくれたことも、反逆者を殺害しなければならないことも、全部わかっているはずなのに、目の前で人を殺されたのが初めてで、動揺してしまった。


「リリアーヌ。怖かったであろう?」

「シャルヴェさま……」


剣を捨てたシャルヴェさまは、すぐにうずくまる私のところまでやってきてくれた。

そして、苦しげな表情で私の肩に手をかけ、首筋の傷に唇を押しつけ流れる血を舐める。
彼の柔らかい唇の熱のおかげで、自分が生きていることを確認した。


しかし、たった今目前で起こった出来事が、夢のように感じられてしまう。
いや、夢であってほしいと思ってしまう。


「また、お前を傷つけてしまった」

「違います……」


あなたが助けてくれたの。
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