冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「リリアーヌさま」

「入って」


すぐにヤニックはやって来た。


「ヤニック。お願いがあるの」

「はい。なんでもおっしゃってください」


私の前で膝をつき首を垂れるヤニックを立たせ、笑顔を作る。


「なんの係わりもない私に、ここまでついてきてくれて、ありがとう」

「突然なにをおっしゃるんです?」


私が深く頭を下げたからか、ヤニックは慌てた様子だ。


「ヤニック。あなたはサノワに帰って」

「リリアーヌさまは、どうされるのです?」

「私は……やはり、生涯をシャルヴェさまに、捧げます」


私がそう口にすると、ヤニックは目を丸くして言葉を失くした。
それでも次の瞬間には微笑み、再び口を開く。


「リリアーヌさまは、お幸せになられるのですね」

「はい。幸せに、なります」


ヤニックは、私が本気でシャルヴェさまを愛しているのだと気づいたのだろう。
私はシャルヴェさまと一緒でなければ、幸せにはなれない。
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