冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「ただ、サノワに残してきた人が心配です。母だけでなく、孤児たちも……」
そういうことも含めて、すべてを吹っ切ってここに来たつもりだった。
でも……パンを盗んだあの男の子を目の当たりにしたり、シャルヴェさまの母や兄が放火で亡くなったことを知った今、心がざわついて落ち着かない。
母のことはヤニックが見守ると約束してくれたけれど、サノワの未来も心配だった。
「リリアーヌさま。私はおそばにいられて幸せでした。リリアーヌさまからたくさんのことを学びました」
「私から?」
ヤニックは大きくうなずく。
「私たちは戦い、そして勝つことだけが正しいと信じてきました。でもいくら勝っても……このユノヘスのような大国であっても、その勝利の裏では苦しむ民がいて、憎しみが生まれていることも知りました」
ヤニックの言葉に、私はうなずいた。
そういうことも含めて、すべてを吹っ切ってここに来たつもりだった。
でも……パンを盗んだあの男の子を目の当たりにしたり、シャルヴェさまの母や兄が放火で亡くなったことを知った今、心がざわついて落ち着かない。
母のことはヤニックが見守ると約束してくれたけれど、サノワの未来も心配だった。
「リリアーヌさま。私はおそばにいられて幸せでした。リリアーヌさまからたくさんのことを学びました」
「私から?」
ヤニックは大きくうなずく。
「私たちは戦い、そして勝つことだけが正しいと信じてきました。でもいくら勝っても……このユノヘスのような大国であっても、その勝利の裏では苦しむ民がいて、憎しみが生まれていることも知りました」
ヤニックの言葉に、私はうなずいた。