冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
彼は今まで、戦いの最前線にいたような人だと聞いている。

なにも考えず敵と見れば切る。
勝つことこそ正義だったはずだ。


「ヤニックが必死に戦ってくれたおかげで、今のサノワ国があります。でも、理想は……」

「わかっております。私はサノワに帰り、シャルヴェさまがされているように、孤児への物資補給をいたします。そして、リリアーヌさまの意思を継ぎ、子供たちの心を育てる努力をします」


ヤニックの力強い言葉に、涙がこぼれる。

彼はここに来てから、ユノヘスの政治についてバスチューたちから学んでいた。
その中で、シャルヴェさまが孤児たちへの配慮を積極的に行っていることも知り、深く感心していた。

そしてサノワもそうするべきだと強く思うようになったのだとか。


「リリアーヌさま。私などのために涙をこぼしてはいけません。次は……王太子さまがお戻りになったときの喜びに涙してください」
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