冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「シャルヴェさま……」


その姿を見た瞬間、我慢していた涙かポロポロこぼれ出し、慌てて手で拭う。
そして……。


「シャルヴェさま、おかえりなさいませ」


バスチューがそう言いながら馬を預かると、シャルヴェさまはすぐに跪いて迎えた私に気づいて目を丸くした。


「リリアーヌ、お前……」

「おかえりなさいませ。ご無事で……」


必死にそう絞り出した声は、震えてしまった。

彼が無事に帰ってきたという安堵で、拭っても拭っても涙が止まらない。


「シャルヴェさま、お疲れさまでした。見事な勝利を収められたと聞きました。おめでとうございます」


バスチューがそう声をかけたけれど、シャルヴェさまの視線は私に向いたまま動かない。


「すぐにお部屋に飲み物と食事の用意をいたしますので休まれてください。それと、リリアーヌさまの申しつけで、大広間にケガをした兵を集め治療いたしますが、よろしいですか?」
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