冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
バスチューが許しを請うと、シャルヴェさまは驚愕の表情を浮かべる。


「リリアーヌの?」

「はい。リリアーヌさまは、王太子妃としてご立派に立ち回られていらっしゃいましたよ」


バスチューは、はっきり『王太子妃』と口にした。
もしかしたら私の背中を押してくれているのかもしれない。


「もちろん、よい。十分に治療を施してやってくれ」

「はい。あとは私が。シャルヴェさまはお部屋に」

「頼んだ。リリアーヌ、参るぞ」


シャルヴェさまは私を拒否しなかった。
しっかりと私の目を見つめ、手を差し出してくれた。

私はそれがうれしくて、すぐに手を出したけれど……彼はその手をすぐに引っ込めてしまった。


「すまぬ」


その手には血の跡が残っていたからだ。
でも……。
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