冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
浴室で抱き寄せられたときのように、素肌に頬をつけてシャルヴェさまにしがみつくと、ひどく安心する。
愛しい人は、生きていてくれた。


「なぜ、サノワに帰らなかったのだ」


彼は私の髪に手を入れながら、低い声で尋ねる。


「じゃじゃ馬は、あきらめが悪いんです」

「そうか。それは初めて知ったぞ」

「シャルヴェさまと、離れたくないんです」


そう口にした途端、背中に回った彼の手に力がこもる。


「俺はイヤールドの国王の首を切った」

「聞きました」

「この手は汚れているんだぞ」

「でも、そのおかげでたくさんの民の命が助かりました」


できるなら血なんて見たくない。
でも、どうにもならないことがあるのだと、私はここに来て知った。


「それに俺の体は傷だらけだ」

「私も傷だらけです」


私の言葉に、彼は「ハハハ」と声を上げて笑う。
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