冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「くだらないプライドなんて捨てなさい。あなたの命はあなただけのものではない。あなたが死ねば悲しむ家族がいる。そしてまた恨みが生まれる」


最初は領土争いだけだった。
それなのに、恨みが恨みを呼び、領土争いに加え、弔い合戦になっている。
私はそれに一番胸を痛めていた。

どけだけ剣を交えても、悲しみが増えるだけなのに……。


「私の命はさしあげられません」


私はひげ男の前にしゃがみ、まっすぐに瞳を見つめる。


「私にも悲しむ家族がいるから」


ひげ男の瞳から怒りの炎が消えているのに気づき、私は剣を放り投げた。
もう武器は必要ない。

するとひげ男は目を伏せ、眉をひそめる。


「待っております。平和な世の中がやってくるのを」

「はい」


そしてひげ男は立ち上がり深く頭を下げ走り去った。



「リリアーヌさま!」


すぐさまヤニックが駆け寄ってきたので「ワガママをきいてくれてありがとう」と頭を下げる。
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