冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
きつくお灸をすえられてしまったけれど、それなら彼と一緒に出かければいい。
またあの孤児たちにも会いたい。


王宮から少し離れた小高い丘の上に着くと、私たちは馬を下りた。


「それにしてもお前は、本当に乗馬がうまい」


彼はまったく支えなくても当たり前のように馬に乗る私を驚いている。


「毎日のように乗っていましたもの」

「毎日だと?」


目を丸くした彼は、私の腰を抱き、木陰に座らせる。


「はい。私はごく普通の生活をしてまいりました。でも母が、私が国王の血を引くことを随分気にしていて……剣術やら馬術、そして身のこなしまで叩き込まれました」


小さい頃はそれがどうしてなのかわからなかったけれど、今ならわかる。
王の血を一滴でも継いだ者は、いつ命を狙われるかわからないのだ。
< 274 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop