冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
悲しい嘘
それから三日。
バスチューの旅立ちの日がやってきた。

王宮で働く人たちと別れの挨拶を済ませたバスチューは、見送りに出たシャルヴェと私の前に立った。


「バスチュー。イヤールドを頼んだぞ。いつでも力を貸す」

「承知しました。シャルヴェさま」


こうして主従関係にあるふたりだけれど、兄弟のように育ってきたのだから、寂しくないわけがないだろう。

シャルヴェの計らいで、護衛の兵も離れたところから見守るだけ。

ふたりだけで話したいこともあるだろう。
私も邪魔かもしれないと思いそっと離れようとすると、シャルヴェがそれに気づいて止めた。


「リリアーヌはここにいろ。もう俺の家族だろう?」

「はい」


彼の気遣いがうれしくて泣きそうになり、思わず顔を伏せる。
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