冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「リリアーヌ、どうした?」

「私はずっとそばにいます」

「あはは。わかっている」


シャルヴェはそう笑ってみせたけれど、最初はためらいもあったはずだ。
初めて体を交えたとき、傷に触れた私を見て一度引こうとした彼は……。


「シャルヴェ。あなたの悲しみを私にも分けて」

「リリアーヌ……」


彼は目を丸くするけれど、それが夫婦になるということだ。


「苦しむシャルヴェなんて見たくない。それならいっそ、一緒に苦しんだほうがましです」


私が口にしたのは、嘘偽りのない本心だ。


「そうか。お前は頼もしい」

「また、じゃじゃ馬扱いをして……」

「じゃじゃ馬ではない。お前はこんなに魅力的な女だ」


シャルヴェはそう言うと、すぐに私の唇を奪った。


「シ、シャルヴェ……まだ明るい……や……」
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