冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
私が声を上げたのは、首筋を這い出したシャルヴェの唇が、チュッと音を立てその痕跡をつけたからだ。


「体を交えるのは、夜と決まっているわけではないのだぞ?」

「えっ!」


あんな恥ずかしい行為を昼間から? 
すべて見えてしまうじゃない……。

私は、必死に彼の厚い胸板を押し返す。
せめて、月明かりまでよ!

そしてその腕をかいくぐり逃げようとしたけれど、まったく無駄な抵抗だった。


「じゃじゃ馬扱いはイヤなのだろう?」


ニヤリと笑うシャルヴェは、私を容易に捕まえ、壁に追い詰める。


「そ、そうですけど……」

「それなら、女として扱ってやる」

「さっきランシャンに叱られ……。あっ、おやめ……」


ドレスに手をかける彼に焦り、慌てて抵抗したものの……。


「ランシャンにはまた叱られるだけさ」


彼はマイペースに私の唇を塞いだ。
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