冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
今日の夕食はチキンのあぶり焼きと、トマトのスープ。それに、カボチャのチーズ焼きなどが並ぶ予定だ。


「パンがいい具合に焼けましたわ」


コールが窯からこんがり焼けたパンを取り出した。


「それでは国王さまの分を用意しましょう」


ガエルのひと言に、私はハッとした。
国王さまの病状については、シャルヴェさまとバスチュー、そしてランシャンしか知らないと聞いていたからだ。


「あの、これは誰が運ぶの?」

「いつもはバスチューでしたが……」

「それじゃあ、私が運んでもいい?」


そう尋ねると、コールは少し困った顔をした。


「ですが、国王さまのお部屋には近づくなときつく言われているんです」

「シャルヴェさまと一緒ならいいかしら?」

「それは王太子さまに聞いてみないと……」


言葉を濁すコールとガエルを残し、私は食事を持って調理場を出た。
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