冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
私はそれを見て、手伝おうとしたものの、シャルヴェに止められてしまった。


「ご自分でお食べになりたいのだよ」


手伝ってもらうのは屈辱的なのかも……。
そう思った私は、黙って見ていることにした。


「本日はご報告がございます」

「なんだ?」


しばらく食べ進んだところでシャルヴェが口を開いた。


「この度、妃を娶ることになりました」

「本当か! 心配しておったんだぞ、ジルベール」


さっきから、ジルベールって……誰のこと?


「はい。そしてこのリリアーヌが、私の妃です」


私はシャルヴェの妃になるのよ?

淡々と進む会話についていけない。
けれど、なにかわけがあるのだと事態を見守ることにした。


「おぉっ、リリアーヌ。そなたが……」


国王さまはそう言いながら手を宙に舞わせる。
< 321 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop