冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
我慢しきれなくなり頬を伝いだした涙に気づいたシャルヴェは、眉根を寄せる。
それでも私は大きく息を吸い込んで、続けた。


「国王さま。よろしければ、これから私がお食事をお持ちしてもいいですか?」


私の提案に、シャルヴェは口をあんぐりと開け驚いている。


「もちろん、かまわんぞ。ジルベール、よいだろう?」

「はい。国王さまがそれでよろしいのでしたら」


シャルヴェがそう言うと、国王さまはうれしそうに微笑んだ。


「それで……以前からお望みでした王位継承を行いたいと思います」


次にシャルヴェはそう切りだした。


「やっとその気になったか。これもリリアーヌのおかげだな」

「いえ……」


そう言いつつも私の胸はきりきりと痛む。
シャルヴェは、自分を殺して平気なの?

それでも動揺を悟られまいと、必死に明るく振る舞い、国王さまの部屋をあとにした。
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