冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「ありがとう。でも、そうなのだ。ジルベールの代わりにユノヘスを守らなくてはならなくなった俺は、そんなちっぽけなことで立ち止まっている場合ではなかった。もう国王として十分に采配を振れなくなった父の代わりに、すべてを取り仕切らなくてはならないのに……」


聞けば、あの忌々しい火事は、彼がまだ十歳の頃だったらしい。
そんな歳で国を背負うなんて、できるはずがない。


「それからは必死だった。バスチューという心強い仲間を手に入れ、ランシャンに叱られながら、ひたすら国政について学んだ。まぁ、よく抜け出して尻も叩かれたが……」


シャルヴェはやっと笑みをこぼした。
その辛い時期に、バスチューがいてくれて救われたのかもしれない。


「ランシャンは、俺の足りない部分をひたすら埋めてくれた。俺たち一族のために、身を粉にして働いてくれた。もちろんバスチューも、影の功労者だ」


そうやって他の人に素直に感謝できるのが、本当は優しい彼らしい。

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