冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「俺は、母と兄を奪われた悲しみと、自分の人生をあきらめジルベールとして生きていかなければならない苦しみで憎しみが増強して、攻め込んできた他国の兵は、容赦なく切り捨ててきた」
それが冷酷な君主だと言われてきた由縁だろう。
「憎しみがほとんどを占めていた俺の心に変化をもたらしてくれたのが、リリアーヌ。お前だよ」
「私?」
私はなにもしてない。
「そう。サノワから友好の証として姫を差し出すと言われたとき、正直言って興味などなかった。俺はこの傷のせいで女を信じてはいなかったし、部屋に閉じ込め人質にでもしておけばいいと」
私もそれを覚悟していた。
その一方で、どうせならユノヘスの冷酷王太子に愛されたいとも思っていた。
「それなのに、お前のあのひと言だ」
「なにか言ったかしら?」
「言っただろ。『王太子さまに恋をしに参りました』と」
それが冷酷な君主だと言われてきた由縁だろう。
「憎しみがほとんどを占めていた俺の心に変化をもたらしてくれたのが、リリアーヌ。お前だよ」
「私?」
私はなにもしてない。
「そう。サノワから友好の証として姫を差し出すと言われたとき、正直言って興味などなかった。俺はこの傷のせいで女を信じてはいなかったし、部屋に閉じ込め人質にでもしておけばいいと」
私もそれを覚悟していた。
その一方で、どうせならユノヘスの冷酷王太子に愛されたいとも思っていた。
「それなのに、お前のあのひと言だ」
「なにか言ったかしら?」
「言っただろ。『王太子さまに恋をしに参りました』と」