冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
私は急に恥ずかしくなって、再び彼に抱きつき赤く染まる頬を隠そうとした。
けれど、彼はそれを許してはくれず、私の両肩に手を置き視線を絡ませる。


「俺の暴れ馬を乗りこなす姫なんて……民のために命を顧みず火の中に突っ込む姫なんて……はるかに想像を超えてきえた。一気にお前に興味を持ったよ」

「シャルヴェ……」


あれはとっさにとった行動だったけれど、浅はかだったかもしれないと、ちょっと反省もしている。
でも、男の子の命が助かったから、後悔はない。


「いつの間にか、俺もまんまと恋に落ちていた。お前をサノワに帰す決断をしたときは、今までで一番苦しかった」


そう言った瞬間、彼は私の顎に手をかける。


「リリアーヌ。どこにも行くな。お前は俺の味方でいてくれ……」


私には、それがシャルヴェの心からの叫びだと感じた。


「もちろんです。だって私は、シャルヴェに恋をしに来たんですよ」


そして、月明かりに照らされた私たちのシルエットが、重なった。
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