冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「本当だな」

「シャルヴェさまのイヤールドの攻略、そしてその後の兵への対応で、国民は皆シャルヴェさまの虜です」


エドガーがそう言うと、シャルヴェは少し照れくさそうに笑う。


「そうだったのか。それでは、もっともっと頑張らねばならぬな」

「はい。どうかひと言、国民に声をお届けください」


エドガーにそうせがまれ、シャルヴェが一段高いところに上ると、彼の姿が見えた国民は一瞬にしてざわつき始めた。


「シャルヴェさま! 王位継承、おめでとうございます!」


どちらからともなく声が上がる。


「皆、ありがとう。私が至らぬせいで、大切な人を亡くした者もいるだろう。申し訳ない」


シャルヴェが『申し訳ない』と国民に首を垂れたせいか、一瞬静寂が訪れた。
名実ともに絶対的な君主となった彼が、そんなふうに謝るとは思ってもいなかったのだろう。
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