冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「だが、これからは極力無用な争いはしない。ユノヘスの豊かな土地と、聡明な国民を守ることにのみ心を砕く。それでも隣国が攻めてきたときは、私が率先して皆を守ると約束する」

「シャルヴェさま!」


彼の力強い言葉を聞き、うっすらと涙を浮かべている者までいる。

この国は強い。
これだけ団結しているこの国に、敵う国などないと思えた。


「そして今日はもうひとつ知らせがある」


「リリアーヌ」と私を促したシャルヴェは、同じように一段高いところに上がった私の腰を抱いた。


「王妃のリリアーヌだ」

「うぉー!」


その瞬間、大きなどよめきが起こる。
それはもちろん、祝福のどよめきだった。

私……こんなに祝福されて、幸せだ。


「近々結婚式を行う。彼女はユノヘスの女神だ」


そんなふうに紹介され、私はたじろいだ。

『女神』なんかじゃない。
ただのじゃじゃ馬なのだから。
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