冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「エドガー。これから部屋の周りは人払いをいたせ」

「はい」


戻ってきたエドガーにそう告げたシャルヴェは、私を抱き上げたまま部屋へと向かう。
それって……。


「じゃじゃ馬にはまだまだしつけが必要だ」

「シ、シャルヴェ。まだ明るいのよ?」

「そんなの今更だろう。次は世継ぎの報告をせねばな」


そうして私は今日も彼に溺れることとなる。



それからふた月。
私たちの結婚式が盛大に行われた。

式は終始温かい雰囲気で進み、王宮で働く者はもちろんのこと、宮殿の外に集まった国民に祝福され、幸せの絶頂とはこういうことを言うのだと感じた。


ほとんど寝たきりの元国王さまのところには、銀糸の美しい刺繍が施された白いドレスのまま結婚を報告に行った。
国王さまには見えないけれど、正装で報告をしたかったのだ。

ただ、シャルヴェにとってはジルベールとしての報告になってしまったのだけが残念だ。
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