冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「お話の最中だったのでは?」


あっという間に登ってきて、隣に座ったシャルヴェに尋ねた。


「そうだ。でも、リリアーヌの方が大切だからな」


彼は最近、すこぶる甘い。


「でもランシャンにお尻叩かれますよ?」

「あはは。特に他愛もない会話をしていただけだ。問題ない」


笑みを漏らすシャルヴェは私の肩を抱く。


「ここは街がよく見えるな」

「はい。ユノヘスは美しいですね」

「リリアーヌはもっと美しい」


彼はそう言いながら顔を近づけてきて、唇を奪う。


「こんなところで……」

「お前となら、どこでもキスしたいぞ」

「そ、そんな……場所はお選び下さい!」


慌てる私は、マイペースな彼に踊らされっぱなし。

相変わらず『じゃじゃ馬』と言われるけれど、彼にがっしりと手綱を握られている気分だ。
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