冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「まぁ、考えておく。リリアーヌ、疲れてはいないか?」

「少し疲れました。おとなしくしていないといけなかったので」


私がそう言うと彼は「あはは、お前らしい」と声を上げて笑う。


「シャルヴェ。私、ちょっと体調がよくないの」

「なぜそれを早く言わない。こんなところに登っている場合ではないだろう!」


彼は驚き、大きな声で私を叱る。


「でも、もう少ししたら登れなくなってしまいますもの。この景色を見ておきたかったんです」

「登れなくなる? できれば木には登ってほしくはないが、登るなとは言ってはいないぞ」

「はい」


たしかに言われていないし、彼が私を自由にしてくれているのはわかっている。
でも……。

私はシャルヴェの手を取り、自分のお腹に触れさせた。


「リリアーヌ、まさか……」
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