冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
まだ男の子か女の子かすらわからない。
でも、お腹の中の子は、確実にユノヘスにとって大切な人物となる。


「リリアーヌ……」

「それに、生まれる前からこの国を愛しているって、なんだか素敵でしょう?」


この素晴らしい景色をお腹の子もきっと気に入るはずだ。


「それはそうだが……やはり木登りは禁止だ!」


まったく余裕を失くしたシャルヴェを見て、彼が心から喜んでくれているのだと感じる。

しぶしぶながら木を下りることを了承し、シャルヴェにゆっくりと続く。


「あっ……」

「危ない!」


一番下の枝で足を滑らせてしまうと、もうすでに地上に下りていたシャルヴェが私を受け止めるために大きく手を伸ばした。

とはいえ、そこはじゃじゃ馬の腕の見せ所。
とっさに枝をつかみぶら下がる。


「まったく!」

「シャルヴェ、行くわよ」
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