冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
彼がホッとしているのも束の間、私は彼の腕の中をめがけてフワッと飛んだ。


「あ、危な……」


危ないというほどの距離ではない。
もうぶら下がっていたので、あと二十センチほどで地面だったのだから。

お腹に子がいるのだから、さすがにそんなに無茶はしない。


「リリアーヌ。頼むからおとなしくしてくれ」

「あはは。ごめんなさい」

「腹は? 子は大丈夫なのか?」

「大丈夫ですわ。心配性ね」


あんなに怖いと隣国に知れ渡っているシャルヴェがこんなにアタフタするなんて、いったい誰が信じるだろう。
私はおかしくて、彼の首に抱きつきクスクス笑う。


「リリアーヌ、でかしたぞ」

「シャルヴェ。この子が生まれても、私をずっと愛してくれる?」

「もちろんだ。イヤと言うほど愛してやる。ただ、もう少しおとなしくなればな」

「えーっ」


白い歯を見せるシャルヴェは、不意に私を抱き寄せ、とびきり熱いキスを落とした。
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