冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
第一夫人との間にできた兄と姉は、生まれたときから王宮ですごし、なに不自由なく暮らしてきた。

一方私は、ふたりとは対照的に、もともと侍女だった母に国王が手を出して生まれ、第一夫人には忌み嫌われる存在としてこの世に生を受けた。

それでも、国王の血を引くということで、母は第二夫人という称号を与えられ、その娘として認定はされたものの、あきらかに歓迎されていない命だった。


そのため、母と私は、早くから王宮を離れふたりで生活をしてきた。


目の前に出された紅茶のカップには金で模様が描かれていて、触れることすら緊張する。
こんな立派な食器に触れたのは初めてで、王宮での暮らしと自分の生活がかけ離れていることを思い知った。


それに、小高い丘の上にあるここは、大きな窓から覗くと街中を見渡すことができて、この国を支配しているのだと優越感に浸るには最適のように思えた。
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