冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
私は母を身ごもらせ、意味のない称号だけを与えて王宮から追い出した父を完全に恨むことができないでいる。
それは母が『それでも国王がいなければ、リリアーヌと出会えなかったのよ』と常々話して聞かせてくれたからだ。
だから、もし自分が隣国の会ったこともない王太子に嫁ぎ、サノワの国民と父である国王が助かるのならばと思った。
なぜその役割が王宮で暮らしている姉ではないのかということは、考えないようにした。
それは、わかりきったことだからだ。
ユノヘス王国の王太子に嫁いだとしても、無用になれば命はないかもしれない。
いや、万が一、サノワがユノヘスに逆らうようなことがあれば……おそらく見せしめに殺されるだろう。
そんな役割を第一夫人が許すはずもなかった。
それは母が『それでも国王がいなければ、リリアーヌと出会えなかったのよ』と常々話して聞かせてくれたからだ。
だから、もし自分が隣国の会ったこともない王太子に嫁ぎ、サノワの国民と父である国王が助かるのならばと思った。
なぜその役割が王宮で暮らしている姉ではないのかということは、考えないようにした。
それは、わかりきったことだからだ。
ユノヘス王国の王太子に嫁いだとしても、無用になれば命はないかもしれない。
いや、万が一、サノワがユノヘスに逆らうようなことがあれば……おそらく見せしめに殺されるだろう。
そんな役割を第一夫人が許すはずもなかった。