冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
コールがそう言いながら手を伸ばすので、慌てて止めた。


「皮くらい自分で……」

「手が汚れますので、私が」


いくら私が止めても、コールは皮を剥くことをやめようとはしない。
子供の頃ですら自分で剥いていたのにと、驚いてしまい言葉を失くす。


王宮ではこれが普通なの? 
侍女がいるって、こういうことなの?


「リリアーヌさまは、すももを食べられなかったんですか?」

「いえ。サノワのすももはもう少し甘かったです」


『皮は自分で剥きました』という言葉を呑みこみながらそう言うと、「まぁ、食べてみたいですわ」とコールは言う。


「いつかサノワに行くことがあれば」


平和な世がやってきて、自由に行き来できるようになるといいのに。
そうすればお母さまをユノヘスに招待することだってできるわ。
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