冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
私はそう思いながら、コールが剥いてくれたすももを口に入れた。


「あの、王宮の中をお散歩しても構わないかしら?」


すももをすっかり食べ終わると、コールに尋ねた。

これからここで過ごすなら、王宮の中のことも知っておきたいと思ったからだ。


「それはおやめください。いくら王宮とはいえ、王太子さまの妃となるべきお方には護衛が必要です。必要ならば誰かを呼びますので、この部屋を出られるときには私にお申し付けください。それでは、食事のときにお声かけに参ります」


コールはそれだけ言うと、部屋を出ていく。
それじゃあ、軟禁じゃない……。

もちろんドアに鍵はかかっていない。
だから一見自由、であるようでそうではない。


「そんなこと言ったって、無理よね……」


いくら広いとはいえ、ずっとこの部屋でひとりきりなんて気が狂ってしまいそう。
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