冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「今なら大丈夫」


私は人の目がないことを確認して、部屋を抜け出し探検を始めた。


「でも、どこに行ったら……」


長く続く廊下の左右にはたくさんのドアが見える。
けれども、どのドアがなんの部屋なのかもわからず、安易に開けるわけにもいかない。

しょうがない……。

とりあえず、外に出て王宮全体を見てみることにした。


「あ……」


何度か角を曲がりやっと玄関にたどり着いたものの、長い槍を持った護衛の兵がふたり、微動だにせず立っている。


「どうしよう……」


ここ以外に出口を知らない。

これ、使える?

そのとき、端の方に置かれていたほうき見つけ、手に取ると……。

――カランカラン。

自分とは反対の方に投げた。すると……。


「何者!」


兵はとっさに反応して音のほうに駆け寄っていく。
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