冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「わー」


樫の木に登ると、ユノヘスの街並みが一望できた。

サノワよりずっと家が多い。
それに、きちんと道が整備されていて、規則正しく碁盤の目のように、東西、そして南北に並んでいる。

そうやって統制が取れていることも、国王の権力の証のような気がした。

遠くには森が広がっていて、たくさんの自然の恵みもありそう。


「あそこから取ってきたのかしら……」


すぐ近くには、赤く熟れたすももがたくさんなっている木も見える。

そして、街の東側には大きな川も流れている。
水はとても大切だ。
食物を育てるのにも、人の喉を潤すのにも欠かせない。


水の豊富な国は栄えると聞いたことがあるけれど、その通りかもしれない。
サノワにも美しい川があり、そのおかげで食物がよくとれた。


その結果、その領土を狙われてしまったのは悲しいことだけれど。
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