冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「いいわよ。速いわ。あなたお利口さんね」


ビュンビュンと風を切る音が心地いいほど、馬は猛スピードで街を駆け抜けていく。
こんなに俊敏な馬に乗ったのは初めてだった。


「あの煙の方に行くのよ」


突然現れた私と馬に驚く街の人々はざわつき、落ち着きをなくしはじめる。
でもこういうときだからこそ、冷静に的確な指示をしなければ。


「火事よ。子供は逃げなさい。大人の男の人は消火を手伝って」


現場に近づき具体的な指示を口にしながらさらに馬を走らせると、火事に気がついていなかった住民が次々と外に出てくる。


「早くしなさい。子供は逃げて!」


こんなに大勢の人を動かした経験などない。
でも、やるしかない。


「誰か、馬をお願い。水を汲める容器を貸して!」


現場近くで馬を下り近くにいた人に預け必死に訴えていると、たくさんの容器が差し出され、力のありそうな男たちが集結しはじめる。
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