冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「わーっ」


それでも火の回りは早く、目の前に燃えた柱が落ちてきて、とっさに男の子を庇う。
その柱は回避できたものの、別の柱が私の足に乗ってしまった。


「あっ……」


その大きな柱は、幸い燃え尽きて火はついていなかったものの、皮膚を焦がすのに十分な温度を保っている。


「うわぁーっ」


その熱さに耐えかねて思わずうめき声を上げると、男の子は心配げな顔をして、柱に手を伸ばそうとした。


「触っちゃダメ。もう外よ。あなたは行きなさい」


熱い。痛い……。
私は歯を食いしばりながら、必死に男の子を促す。

それでも戸惑いを隠せない男の子は、呆然と立ち尽くしている。


「行けーっ!」


最後の力を振り絞りもう一度声を張り上げると、男の子は外をめがけて走り出した。
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