冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
ホッとしつつ、痛みをこらえながら足を抜こうともがいたものの、柱が重すぎてなかなか抜けない。

このままでは火が回る……。
そのとき……。


「リリアーヌ!」

「えっ?」


私の名を呼ぶ声と……「王太子さま、なりません!」という大きな声が耳に入った。


「王太子さま?」


来てくださったの?

そして視界を遮りだした黒い煙の中から、王太子さまが現れた。


「ダメです。出ていって」

「お前はバカか。出ていけるわけないだろう!」


王太子さまがそう声を張り上げながら、私の足の上の柱をためらうことなく素手でどかしてくれる。
そして私を軽々肩に担ぎ、外に向かって走りはじめた。


「王太子、さま……」

「しゃべるな」

「ありが……」


そこで私の意識はプッツリと途絶えた。
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