冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
ベッドの端に座った王太子さまは、そう言いながら私の目にかかっていた髪を優しい手つきでよけた。


「火事も最小限で食い止めることができた。あのままではあの周辺一帯がすべて焼けてしまっていただろう。リリアーヌが川から水を運ぶように言ったそうだな」


私がうなずくと、彼はほんの少し口角を上げる。


「なかなかの機転だった。国民もお前のことを英雄扱いだ」


当たり前のことをしただけなのに……。


「だが!」


王太子さまが突然語気を強めるので、驚いて肩をすくめる。


「このじゃじゃ馬は、無茶ばかりする。兵の前に立って自ら剣を振ったり、火の中に突っ込んだり……」


『じゃじゃ馬』に返す言葉もない。
その通りだ。

でも、体が勝手に動いていた。


「そもそもあの馬は、暴れ馬だ。俺にしか乗りこなせないのに、お前ときたら……」
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