冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
そうだったの? 
たしかにちょっと気性は荒そうだったけど、あの俊敏さは素晴らしかったのに。


「あの馬より暴れ者だ」

『あはは……』


声が出せない私は、心の中で苦笑した。


「どうやらそなたは、王宮で育っていないらしいな」


続いた彼の言葉に驚き、目を見開く。

ヤニックが言ったの? 
もしかして、尋問された?

どうしよう……。
私はあくまでサノワ国の姫として嫁いできたのだから、焦ってしまう。

国王の正妃の子ではないことに、彼は怒っているに違いない。

私は嘘をついていたといううしろめたさと、これでユノヘスとサノワとの国交が立たれてしまうかもしれないという落胆で視線を逸らした。

それなのに……。


「どうりでだ。どうりでじゃじゃ馬なわけだ」


王太子さまはそう言いながら盛大に笑う。

あれ、怒ってない?
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