冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
それに、彼がこんなふうに笑うなんて、意外だった。


「なかなか面白い女だ。こんな女に初めて会ったわ」


面白いの?
そんなことを言われたのは初めてだった。

なぜなら、今までのサノワでの生活では私のような人間は決して珍しくないからだ。
まぁサノワでも、じゃじゃ馬ではあった気もするけれど……。


「しかし、もう許さんぞ。俺の心を乱すのは許さん」


王太子さまの心って? 私のことなんかで、乱れるの?


――トントン。


「入れ」


不思議に思っていると、ドアをノックする音がして、コールが顔を出した。


「王太子さま、ランシャンさまが国王さまがお呼びだと探されていらっしゃいます」

「わかった。コール、リリアーヌを頼んだぞ」

「承知しました」


王太子さまは私の顔を一度覗き込んでからベッドを離れていく。
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