冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
彼が私の名を口にするのでふと顔を横に向けると、視線が絡まってほどけない。


「お前は俺と同じなのかもしれぬ」


それはどういうこと?
そう聞きたいのに声が出ない。


「声が出るようになったら、サノワのことを教えてくれ。それに、お前のことも」


私の? あんなに興味がなさそうだったのに?
それに、『人質』と言い切ったのに……。


「今、お前に必要なのは休息だ。俺がここにいるから安心して眠れ」


声が出ずまともにお礼も言えない私がコクンとうなずくと、彼の大きな手が伸びてきて私のまぶたを閉じさせた。


そして次の朝。


「王……」


明るくなっているのに気づいて私が目を開けると、目の前に王太子さまがいて思わず声を上げてしまった。

私、王太子さまと同じベッドで眠ってしまったみたい。
でも、あれ、声が出る?
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